おにごっこ

今となってはコンビニとアパート間の往復で息切れしてしまう引きこもり人間の俺ですが、昔はお外で遊んだりなんてこともよくよくやったものです。

そんな小学生時代にやった遊びを紹介する。まずは「目隠し鬼」だ。氷鬼とかそういった鬼ごっこのパターンの一つである。まあ大体言葉から意味が取れると思う。鬼が目隠しして鬼ごっこするのだ。正気の沙汰とは思えない。一応公園の中でやり、外に出てはいけないという程度のルールはあった。鬼は必死になって足音に耳をそばだて、たまに目を薄く開けたりして追いかける。やり過ぎるとバレルから、開けてるのに見えてないふりしてふらふら歩くという高等テクニックもある。他の奴らは気が向いたら「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」などと手を叩きながら囃したてる、鬼に捕まったのに声を出さないように無理矢理振り払って逃げる、鬼だけ置いて帰る、ブランコの上などといった目隠ししている鬼役は到底来れない様な場所で高みの見物と決め込む、などとして鬼を馬鹿にして楽しむのが常だった。
ここまで読んだ根気のある人は褒めてあげたい。そんな人にはわかるだろうが、この鬼ごっこは過酷だ。子供って残酷! って感じだ。なんというか無法地帯だ。一応鬼は人を捕まえたらそいつも鬼にできたが、最初の一人を捕まえるまでが大変過ぎる。そしてみんな鬼は大変なのを知ってるからあまり捕まりたくは無い。そこで俺の学生時代にはこの「目隠し鬼」に若干のルールの変更を加えた「おりた」という遊びの方が流行ってた。というかいつもいつも「昔さあ、おりたって言う遊びやらなかった?」と聞くとみんな知らないと言い、説明のために「あの目隠し鬼みたいなさあ」と言うとそれも知らないとか抜かしやがるもんでそこから書いたんだけど。
で、この「おりた」のルールはというと、「目隠し鬼」に一つのルールを付け足しただけ。「鬼以外の奴が遊具から降りているときに、鬼が「おりた」と言うと、鬼はそいつを捕まえたことになる」というものである。当然追いかけっこは遊具の上で展開されることになる。公園内ならどこへでも縦横無尽に走り回れる「目隠し鬼」とは違い、その範囲は相当に制限され、おかげでずいぶんとスリリングな遊びとなる。あの遊びをやっている子供の遊具の上を横を下を這いつくばっている姿は見ていると相当面白いと思う。あの頃の俺たちは行きつけの遊具内のありとあらゆる経路を知り尽くしていた。目隠し鬼のセオリーに加え、本当は遊具を降りているくせに他の奴らと結託して「降りてない降りてない」ということもあった。これって鬼はずっと「おりたおりたおりた」言い続けたほうがいいんじゃね? と思うかもしれないけど、興醒めしてしまうのでそれは良くない。


しかしよくまあ大きな怪我とかしなかったもんだこんな遊び。親御さんたちにばれたら止められそうだな。そりゃあはやらねえよなあ。そう言えば俺たちのグループ以外であの遊びをやっている奴を見た記憶が無い。あんまし他人に薦められる遊びでもないしなあ。あの遊び他にやってる人らいなかったのかねえ。あ、あと国語の教科書で「おにた」っていう話を習ったあとに「おにた」って言う遊びが流行ったことがある。鬼が言う言葉が「おにた」だったのと、その遊びが「おにた」と呼ばれていると言うこと以外は「おりた」と同じルールだったんだけど。当然そんな遊びは一瞬で消えた。


懐かしいなあ。現役で「おりた」をやってる小学生とかいたらコメントよろしく。